ゴー宣DOJO

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切通理作
2012.8.18 03:37

従軍慰安婦どころじゃない

いよいよ明日はゴー宣道場です。

 

会場に来られる方、ネットでご覧になる方、お会いできるの楽しみです。

 

さて今日は明日とは直接関係ない話をしましょうか。

 

韓国が従軍慰安婦の問題を突きつけてきていますが、僕にはいつも、どうしてこの視点が語られないんだろう・・・・と思うことがあります。

 

それは、韓国ではホンの数年前まで、売春が違法ではなかったということです。違法化してから十年もたってないんです。

 

日本はもう半世紀も前から売春が法的に禁止されています。

従軍慰安婦問題も、このような日本人自身の文化風土の中から立ち上がってきた社会倫理の中で、問題として改めて「発見」されていったのではないでしょうか。

 

吉田清二さんが従軍慰安婦問題を言挙げした70年代半ばにして、既に売春が禁止されてから二十年近くたっていました。

 

しかしこの頃、韓国が売春を禁止するにはまだ30年の時を要さなければならなかったのです。

 

河野談話のときだって、まだ韓国では売春は禁止されていませんでした。

 

僕が大学生の頃「買春ツアー」という言葉が流行りました。

日本の一流企業の人間が韓国に行って接待で女性をあてがわれたり、中小企業の社長が札束持って韓国に行って買春したりしていたことを、そう言ったのです。

 

当時私は「なんて日本人は汚いんだ。韓国を汚すような行為をして!」と思っていました。

 

しかし当時の私の倫理観は歪んでいたようです。

 

もし売春がいけないことだとするなら、それが違法ですらない韓国がまずおかしいと考えなければならなかったのに。

 

ちなみに韓国では売春が禁止されて数年後、職がなくなった売春婦たちが「売春する権利を返せ」とデモをやっていたと報道されていたことがあります。数年前の事です。

 

いまあの人たちは、どこへ行ってしまったのでしょう。

従軍慰安婦像を日本大使館の前に設置するような時代の動きの中で、抹殺されてしまったのでしょうか。

 

気になります。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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